生命科学科の吉本光希教授、同 川上直人教授、明治大学 研究・知財戦略機構 篠崎大樹博士研究員(吉本研究室)、高山恵莉菜(川上研究室:農学研究科博士前期課程 修了生)は、乾燥種子が長期間に渡り発芽能力を維持するために、オートファジーが重要な役割を果たしていることを報告しました。
- 乾燥種子の胚乳においてオートファジーが働き酸化ストレスが抑制され、胚乳細胞の品質が維持されることが、種子が長期間に渡り発芽能力を保つうえで重要であることを明らかにしました。
論文情報
論文タイトル:Autophagy maintains endosperm quality during seed storage to preserve germination ability in Arabidopsis
著者:Daiki Shinozaki, Erina Takayama, Naoto Kawakami, Kohki Yoshimoto
掲載雑誌:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)
DOI:10.1073/pnas.2321612121
公開日時:2024年3月26日 オンライン掲載
URL:https://doi.org/10.1073/pnas.2321612121
図:シロイヌナズナ種子の構造と乾燥種子におけるオートファジーの生理機能
左下のモノクロ写真は種子の断面画像です。将来植物体に成長する「胚」の周囲を「胚乳」と呼ばれる生きた細胞の層が取り囲んでおり、そのさらに外側(種子の最外層)が死細胞である「種皮」で覆われています。種子が発芽する際には、胚が成長して胚乳および種皮を突き破る必要があります。
オートファジーは種子保存期間中に、胚乳細胞において酸化ダメージの蓄積・細胞死を抑制します。この働きにより、長期保存後でも胚乳細胞が正常に機能し吸水後に細胞壁の軟化が起こることで胚の成長を妨げる物理的バリアが解除され、発芽が可能になると考えられます。
本論文のプレスリリースはこちら(明治大学プレスリリースサイト)
https://www.meiji.ac.jp/koho/press/2023/mkmht0000016kn9t.html