生命科学は、生命の仕組みを理解し、その知見を人類や地球環境が直面する課題の解決へとつなげる学問です。近年では、ゲノム編集技術、シングルセル解析、空間オミクス解析、人工知能(AI)を活用したデータ解析などの革新的な技術が発展し、これまで明らかにできなかった生命現象の理解が進んでいます。また、感染症対策、再生医療、創薬、食料生産、環境保全、生物多様性の維持など、生命科学が社会に果たす役割はますます大きくなっています。人・動物・環境を一体として考える「One Health」の視点も広がり、生命科学には社会課題の解決につながる研究が求められています。
生命の魅力は、その多様性と共通性にあります。地球上には多様な環境に適応した生物が存在し、それぞれが独自の生存戦略を獲得しています。一方で、多くの生物は遺伝情報を利用する仕組みや細胞という基本構造を共有しています。病気はなぜ起こるのか、細胞はどのように環境変化に対応するのか、免疫はどのように体を守るのか、老化や再生はどのように制御されるのか、植物はどのように環境を感じ取り成長するのか、生物はなぜ多様に進化したのかなど、生命科学には多くの興味深い問いがあります。
明治大学農学部生命科学科では、動物・植物・微生物を対象に、分子・細胞・個体レベルから生命現象を探究しています。生命の成長や発生の仕組み、細胞間の情報伝達、遺伝子の働きと環境応答、免疫や脳・神経の機能、動物の体内時計や生殖、植物の成長や環境適応、細胞内の不要な成分を分解・再利用するオートファジー、微生物の機能など、幅広い生命現象の解明に取り組んでいます。
さらに、ゲノム解析やデータサイエンス、バイオインフォマティクスなどの先端技術を活用し、複雑な生命現象を総合的に理解する力を養います。本学科には、農学・理学・医学など多様な専門分野を持つ教員が集まり、生命の基本原理を明らかにする基礎研究から、健康、医療、食料、環境問題の解決につながる応用研究まで、幅広い教育・研究を展開しています。
生命科学は、未知への挑戦が続く学問です。生命への疑問や知的好奇心を大切にし、新しい発見を生み出し、その成果を社会へ還元したいという意欲を持つ皆さんを歓迎します。明治大学農学部生命科学科での学びを通して、未来の生命科学を切り拓き、持続可能な社会の実現に貢献する人材へと成長されることを期待しています。
生命学科長 戸村 秀明




