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環境応答生物学研究室(吉本光希教授)の論文が「Trends in Plant Science」に掲載されました。

環境応答生物学研究室の吉本光希教授と博士後期課程2年兼日本学術振興会特別研究員の篠崎大樹さんは、植物必須金属元素の1つである亜鉛の欠乏ストレスと過剰ストレスの両方において、細胞内自己分解系であるオートファジーがストレスレベルを軽減し、症状の発症を抑制していることを報告しました。本報告では、これまでの研究で明らかにしてきた亜鉛ストレス応答における植物オートファジーの役割を軸に、新たな植物体内金属恒常性維持システムを提案しました。本モデルは、植物が過酷な亜鉛ストレス環境に適応するために備え持つ高度なシステムの一端を解明し、将来的に、食糧危機の解決に繋がるような技術開発に貢献できる可能性を秘めています。以上の成果は、Cell Pressが発行する米国国際植物科学総説雑誌「Trends in Plant Science」に招待されて、フォーラム記事として掲載されました。

詳細は以下のプレスリリースをご覧ください。

『植物は自身を分解することで体内の金属バランスを保つ』 明治大学農学部生命科学科 吉本教授の研究グループが新規モデルを提唱

日本語版:https://www.meiji.ac.jp/koho/press/6t5h7p00003chqww.html

英語版:https://www.meiji.ac.jp/cip/english/news/2021/autophagy.html

動画:https://youtu.be/TrHISGHQDKk

 

図:オートファジーによる細胞内『亜鉛-鉄シーソー』の管理

土壌からの金属の吸収を担う輸送体タンパク質は亜鉛(紫の丸で表記)と鉄(緑の丸で表記)の両方の吸収に関与します。適切な亜鉛濃度の土壌では、亜鉛と鉄はバランスよく吸収され、植物は健全に生長することができます(中央)。しかし、亜鉛欠乏時には相対的に鉄の量が多くなり、植物体内の亜鉛-鉄シーソーが傾きます。オートファジーは生体物質を分解することで遊離亜鉛を供給し、このバランスの崩壊を矯正して亜鉛欠乏症状の発症を抑制します(左)。また、亜鉛過剰時には鉄の量が減少し、逆方向にシーソーが傾きます。亜鉛過剰下では、オートファジーは鉄を供給することでバランスを矯正し、植物を健全な成長へと導きます(右)。

 

論文情報

・論文タイトル:Autophagy balances the zinc–iron seesaw caused by Zn-stress

・著者:Daiki Shinozaki & Kohki Yoshimoto

・掲載雑誌:Trends in Plant Science

・DOI:10.1016/j.tplants.2021.06.014

・公開日時:2021年7月27日 午前11時(アメリカ東部時間、オンライン先行公開)

・URL:https://doi.org/10.1016/j.tplants.2021.06.014

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