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細胞情報制御学研究室
Laboratory of Cell Signaling Regulation
<研究略歴>
1989年、東京都立大学大学院理学研究科生物学専攻博士課程修了後、群馬大学内分泌研究所(現、生体調節研究所)助手、助教授、准教授。1993-1995年、NIH・遺伝生化学部門・客員研究員。2011年より、明治大学農学部・専任准教授を経て現職。
<主な担当科目>
分子生物学入門、細胞情報制御学、生命科学実験II<ひとこと>
In the middle of difficulty lies opportunity.研究テーマ
元気に生まれ、成長して健康に生きていくためには、細胞が外からの刺激を感じて適切に応答することがとても大切です。
そのために細胞は、光・味・匂い・神経伝達物質・ホルモンなどの多種多様な刺激を感じて適切に応答する、受容体システムを発達させてきました。この受容体システムがうまくはたらかないと、糖尿病・動脈硬化などの生活習慣病やがんの原因ともなりうるため、この受容体システムの解明が求められています。
受容体は図に示すように、刺激を受け取るために細胞が用意したポストです。
刺激の受け取りかたは、私たちが日々利用している郵便システムと似ています。
刺激が手紙で受容体がポストといったところです。
刺激が誤りなく特定の細胞に届き、作用するためには、受け手である細胞に用意されたポスト(受容体)にその秘密があります。
ポストである受容体が受け取るべき刺激の形をしっかりと認識し、それ以外の形のものを受け取らないのです。
細胞情報制御学研究室では、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)と呼ばれる受容体に着目し、主に細胞やゼブラフィッシュを用いて研究をしています。 この受容体は、ヒトでは約800種類ほど存在するといわれています。この受容体の中には、どの刺激(手紙)を受け取るのかまだ明らかになっていないものや、どのような細胞応答を引き起こすのかが、わからないものがたくさんあります。
私たちはこれらの点を明らかにすべく研究をおこなっています。
特定のGPCRを特異的に活性化する、または特異的に活性化を抑制する化合物を開発し、利用することで、目的の細胞応答を望む方向に制御することが可能となります。実際、現在使用されている薬の約3割はGPCRを標的としていると言われています。
GPCRの研究は、希少動物の繁殖や家畜の健康維持に対する新たな薬の開発へと、つながる可能性も秘めています。
研究室メンバー
修士1年 2名; 学部4年 6名; 学部3年 7名; ポスドク 1名; 研究支援員 1名研究業績
<学術論文>
1. Mochimaru Y, Azuma M, Oshima N, Ichijo Y, Satou K, Matsuda K, Asaoka Y, Nishina H, Nakakura T, Mogi C, Sato K, Okajima F, Tomura H. Extracellular acidification activates ovarian cancer G-protein-coupled receptor 1 and GPR4 homologs of zebra fish. Biochem Biophys Res Commun 2015; 457: 493-499.
2. Tobo A, Tobo M, Nakakura T, Ebara M, Tomura H, Mogi C, Im DS, Murata N, Kuwabara A, Ito S, Fukuda H, Arisawa M, Shuto S, Nakaya M, Kurose H, Sato K, Okajima F. Characterization of imidazopyridine compounds as negative allosteric modulators of proton-sensing GPR4 in extracellular acidification-induced responses. PLoS One 2015; 10: e0129334.
3. Ichijo Y, Mochimaru Y, Azuma M, Satou K, Negishi J, Nakakura T, Oshima N, Mogi C, Sato K, Matsuda K, Okajima F, Tomura H. Two zebrafish G2A homologs activate multiple intracellular signaling pathways in acidic environment. Biochem Biophys Res Commun 2016; 469: 81-86.
4. Negishi J, Omori Y, Shindo M, Takanashi H, Musha S, Nagayama S, Hirayama J, Nishina H, T. N, Mogi C, Sato K, Okajima F, Mochimaru Y, Tomura H. Manganese and cobalt activate zebrafish ovarian cancer G-protein-coupled receptor 1 but not GPR4. J Recept Signal Transduct Res 2017; 37: 401-408.
5. Satou K, Mochimaru Y, Nakakura T, Kusada T, Negishi J, Musha S, Yoshimura N, Kato Y, Tomura H. Easy detection of hormone secretion from LbetaT2 cells by using Gaussia luciferase. J Reprod Dev 2017; 63: 199-204.
6. Mochimaru Y, Negishi J, Murakami S, Musha S, Sato K, Okajima F, Tomura H. Metals Differentially Activate Ovarian Cancer G Protein-Coupled Receptor 1 in Various Species. Zoolog Sci. 2018; 35:109-114.
<学会発表>
国際
1. Mochimaru Y, Oshima N, Nakakura T, Mogi C, Sato K, Okajima F, Tomura H. Characterization of OGR1 and GPR4 homologues in zebrafish genome. The 39th JSCE and 8th ISAREN合同大会, 岡崎カンファレンスセンター, 2014.11.7-9.
2. Mochimaru Y, Satou K, Shindo M, Kato Y, Tomura H. Analysis of LβT2 cell responses through ovarian cancer G-protein coupled receptor 1. CompBiol 2015広島大会, 広島・JMSアステールプラザ, 2015.12.11-13.
3. Negishi J, Omori Y, Takanashi H, Kusada T, Tomura H. Metals activate ovarian cancer G-protein-coupled receptor 1 of zebrafish. CompBiol 2015広島大会, 広島・JMSアステールプラザ, 2015.12.11-13.
4. Mochimaru Y, Azuma M, Negishi J, Tomura H. Proton activates OGR1, GPR4 and G2A homologs of zebrafish. International Society for Stem Cell Research (ISSCR2016), San Francisco, 2016.6.22-25.
5. Mochimaru Y, Azuma M, Negishi J, Tomura H. Proton activates OGR1, GPR4 and G2A homologs of zebrafish. International Symposium on Pituitary Gland and Related Systems (ISPGRS 2016), Honolulu, Hawaii, 2016.9.1-5.
6. Negishi J, Omori Y, Nagayama S, Tomura H. Effect of metal ions on the activation of zebrafish ovarian cancer G-protein-coupled receptor 1. International Symposium on Pituitary Gland and Related Systems (ISPGRS 2016), Honolulu, Hawaii, 2016.9.1-5.
7. Negishi J, Musha S, Nagayama S, Tomura H. Effect of metals on the activation of zebrafish ovarian cancer G-protein-coupled receptor 1 and GPR4. The 4th World Congress of Reproductive Biology 2017 (WCRB 2017), Okinawa Convention Center, Okinawa, 2017.9.27-29.
8. Mochimaru Y, Murakami S, Yoshimura N, Tomura H. Metal ions may modulate proton induced OGR1 activation. The 4th World Congress of Reproductive Biology 2017 (WCRB 2017), Okinawa Convention Center, Okinawa, 2017.9.27-29.
国内
1. 佐藤一裕, 一條裕太, 高橋邑和, 立石裕貴, 草田智之, 根岸潤, 佐藤聡恵, 加藤幸雄, 戸村秀明. LβT2細胞におけるGnRHに対するシグナル活性化様式の解析. 第29回日本下垂体研究会学術集会, 八王子セミナーハウス, 2014.8.8-10.
2. 小金井健登, 持丸雄太, 大嶋菜月, 戸村秀明.ゼブラフィッシュOGR1ファミリーのシグナリング解析. 第29回日本下垂体研究会, 八王子セミナーハウス, 2014.8.8-10.
3. 佐藤一裕, 加藤幸雄, 戸村秀明. LβT2細胞におけるGnRHに対するシグナル活性化パターンの解析. 第107回日本繁殖生物学会, 帯広畜産大学, 2014.8.20-23.
4. 一條祐太, 戸村秀明. ゼブラフィッシュG2Aの機能解析. 第87回日本生化学会大会, 京都国際会議場, 2014.10.15-17.
5. 佐藤一裕, 加藤幸雄, 戸村秀明. LβT2細胞における性腺刺激ホルモン放出ホルモンに対するシグナル応答解析. 第87回日本生化学会大会, 京都国際会議場, 2014.10.15-17.
6. 大嶋菜月, 持丸雄太, 戸村秀明. ゼブラフィッシュGPR4, OGR1の分子的特徴. 第87回日本生化学会大会, 京都国際会議場, 2014.10.15-17.
7. 佐藤一裕, 根岸潤, 中倉敬, 草田智之, 大森由花, 加藤幸雄, 戸村秀明. ガウシアルシフェラーゼのLβT2ウシア細胞におけるホルモン分泌アッセイ系の構築への利用. 第30回日本下垂体研究会,宇奈月国際会館セレネ, 2015.8.5-7. (優秀発表賞受賞)
8. 持丸雄太, 新堂真実, 西田真実, 金子諒, 加藤幸雄, 戸村秀明. プロトン刺激によるマウス下垂体細胞株LβT2の応答解析. 第30回日本下垂体研究会, 宇奈月国際会館セレネ, 2015.8.5-7. (優秀発表賞受賞)
9. 佐藤一裕, 根岸潤, 中倉敬, 草田智之, 加藤幸雄, 戸村秀明. ガウシアルシフェラーゼを利用した高感度ホルモン分泌アッセイ系の構築の試み. 第108回日本繁殖生物学会, 宮崎大学, 2015.9.17-20.
10. 持丸雄太, 新堂真実, 西田真実, 金子諒, 加藤幸雄, 戸村秀明. プロトン刺激による性腺刺激ホルモン産生細胞株の応答解析. 第108回日本繁殖生物学会, 宮崎大学, 2015.9.17-20.
11. 持丸雄太, 根岸潤, 大森由花, 高梨颯, 武者詩織, 戸村秀明. 生物種間における金属イオンによるOGR1活性化の比較. 第109回日本繁殖生物学会大会, 相模原・麻布大学, 2016.9.11-15.
12. 高梨颯, 根岸潤, 大森由花, 武者詩織, 永山純礼, 戸村秀明. ゼブラフィッシュOGR1は金属イオンにより活性化される. 第39回日本分子生物学会年会, 横浜パシフィコ横浜, 2016.11.30-12-2.
13. 鳥海拓也, 持丸雄太, 金子涼, 吉村名央, 東野瑚子, 戸村秀明. 生物種による各金属イオンによるOGR1活性化様式の多様性. 第39回日本分子生物学会年会, 横浜パシフィコ横浜, 2016.11.30-12-2
14. 持丸雄太、戸村秀明 OGR1の金属応答性は生物種間で異なる 第32回日本下垂体研究会学術集会, 鬼怒川グランドホテル, 2017.8.2-4
15. 武者詩織、 根岸潤、永山純礼、持丸雄太、戸村秀明 ゼブラフィッシュOGR1, GPR4の金属による応答解析 第32回日本下垂体研究会学術集会, 鬼怒川グランドホテル, 2017.8.2-4(優秀発表賞受賞)
16. 村上奨、持丸雄太、戸村秀明 ACTH産生細胞株におけるGPHRの機能解析 第32回日本下垂体研究会学術集会, 鬼怒川グランドホテル, 2017.8.2-4(優秀発表賞受賞)
17. 武者詩織、根岸潤、永山純礼、持丸雄太、戸村秀明 金属イオンによるOGR1, GPR4を介した応答解析 2017年度生命科学系学会合同年次大会(ConBio2017), 神戸ポートアイランド, 2017.12.6-9.
18. 村上奨、持丸雄太、東野瑚子、吉村名央、戸村秀明 金属イオンによるOGR1活性化の差を生む部位の探索 2017年度生命科学系学会合同年次大会(ConBio2017), 神戸ポートアイランド, 2017.12.6-9.