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生体制御学研究室
Laboratory of Regulatory Biology
<研究略歴>
2007年、東京大学大学院理学系研究科生物科学科専攻博士課程修了。2年間の筑波大学大学院・博士研究員、6年間の国立成育医療研究センター・博士研究員では、遺伝子改変マウスを用いて哺乳類の体内受精のしくみについて解析を進めてきた。
2015年から明治大学農学部・専任講師。
2019年から現職に従事。
<主な担当科目>
生体制御学、生体防御学、生命科学実験Ⅳ<ひとこと>
好きこそものの上手なれ研究テーマ
本研究室では、動物が行う体内受精のしくみに着目し、研究を行っています。体内受精とは、哺乳類が行う生殖様式ですが、そのメカニズムは全くと言っていいほど分かっていません。
精子はメスの生殖器内でどういった旅をし、そこにはどんな危険があるのか?精子はメスによって選別されるのか?メスは交尾・妊娠することでどんなリスクを負うのか?といった疑問に答えが出せるような研究をしたいと考えています。
従来は、体内受精のしくみを明らかにするために、精子と卵子を体外に取り出して実験を行っていました。
しかし体内受精には体内の環境が重要であり、体外に取り出しては実際の受精を反映していないという問題がありました。
そこで私は、遺伝子を欠損したマウスを用いて体内受精させることで、体内環境の重要性を示したいと考えています。
現在の遺伝子編集技術は、より低コストかつ短期間で遺伝子を欠損させることが可能となっています。
この技術を利用して、卒論の短い期間であっても新たな遺伝子欠損マウスの作製かつ解析も可能になるため、積極的に取り組んでいきたいと考えています。
現在、不妊治療を行う人の約半数は特別な疾患が見つからず、原因不明であるとされています。
研究室でマウスを使って体内受精のしくみを明らかにすることで、不妊の原因究明を行うと同時に、その治療方法も模索していきたいと考えています。
マウス体内でおこる受精のしくみ。
オスとメスは体内で受精効率を高めるために友好関係にあると考えていたが、実はメスの体内で精子を攻撃するしくみが存在することが明らかになった。
メスは病原体などから身を守るためにこのしくみを発達させてきたと考えられるが、オスの精液中には精子を保護するタンパク質が存在しており、このタンパク質非存在下では精子はメス体内で生存できない。