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学科長からのメッセージ

生命科学には生命活動に関わる多くの学問領域が含まれ、基礎的な生物学から医学や農学などの応用研究まで、実に多様な研究分野があります。生命の興味深い点の一つに、多様性と共通性があります。地球上には1000万種類を超える多様な生物種が存在し、顕微鏡でしか観察できない微生物や数十メートルの大型哺乳動物、高温や低温などの極地で生活する生物など、様々な形や大きさ・生育環境・繁殖様式の生物種が生存しています。一方で、全ての生物は基本的には同じ遺伝暗号の仕組みで成り立っています。日常生活のなかで生命の様々な疑問に触れることもあります。なぜ病気になるのか、なぜ老いるのか、なぜ怪我が治癒するのか、どうして性格が違うのか、なぜ決まった時期に花が咲くのか、などの疑問を抱いたこともあるでしょう。また、そもそもなぜ細胞は増えるのか、どのように環境やストレスに適応するのか、遺伝子の働き方はどのくらい変化するのか、それぞれ様々な生物で形や生き方が大きく違うのはなぜなのかといった、より生物の基本的な仕組みに対する疑問など、思い起こせばきりがありません。

生命科学科ではそうした様々な興味の対象や疑問に対して分子レベルや遺伝子レベルで理解することを目指し、動物や植物、微生物などの様々な生物種を対象とし、生化学、分子生物学、遺伝学、細胞生物学などの様々な切り口での研究が行われています。そこで得られた研究成果を、食糧問題や環境問題、また高齢化社会など、現在の社会を取り巻く多くの課題の解決に活用することを大きな目標として掲げています。生命科学科または類似した名称の学科は、理学部、工学部、理工学部、農学部など様々な学部に設置されていますが、基礎的または応用的な分野のいずれかに焦点が当てられている場合が多くみられます。一方で、2000年に設置された明治大学農学部の生命科学科では、教員の専門分野も農学・理学・医学などと多様であり、基礎から応用まで幅広い研究が行われ、学生の皆さんの多様な興味に答えられる環境が整えられています。生命に対する疑問や好奇心を抱き、自身の知識を深めるとともに、生命の多様性や生命科学の社会との繋がりにも目を向け、学びとった専門性を広く社会へ還元したいと考える意欲のある学生を歓迎します。

生命学科長 紀藤 圭治

1995年、東京大学大学院理学系研究科修士課程修了。2003年、ケモカインによる方向選択的な細胞遊走のメカニズムに関する研究により理学博士。同年より第一製薬株式会社に勤務。2002年より金沢大学がん研究所助手、2004年より東京大学大学院新領域創成科学研究科助手として、質量分析を用いた定量的プロテオーム解析技術に関する研究に着手。2009年に明治大学農学部専任講師に着任し、モデル生物として出芽酵母を用い、生物種間の比較解析、細胞老化関連分子の探索、高感度解析手法の開発などのプロテオーム研究に従事。2016年に明治大学農学部准教授、2021年に同教授。2022年4月より生命科学科長。

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