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植物分子生理学研究室
Laboratory of Plant Molecular Physiology

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担当教員 : 川上 直人専任教授
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<研究略歴>

1988年、名古屋大学大学院農学研究科生化学制御専攻博士課程修了、植物(葉)の老化に関わる遺伝子の解析研究により農学博士。
同年より横浜市立大学木原生物学研究所助手としてコムギの穂発芽と種子休眠に関わる研究に従事。
1997年に明治大学農学部専任講師、シロイヌナズナを材料とした温度による種子休眠・発芽制御機構の分子遺伝学的研究に着手。
2000年、生命科学科発足時に助教授、2009年から現職。この間、2008年にカナダのトロント大学客員教授。

<主な担当科目>

植物環境生理学、植物分子生理学

<ひとこと>

面白いことを、トコトン

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研究室 : 第一校舎5号館4階403号室

研究テーマ

発芽制御の仕組みを解明し、気候変動に対応した作物生産を考える。

芽生えた場所から逃れることができない植物は、厳しい環境に耐える仕組みを持つだけでなく、温度や光など、環境の情報を成長・分化の「合図」として巧みに利用しています。
この中で、植物ホルモンの作用は環境情報によって制御され、成長・分化の調節に深く関わることがわかってきました。
このようなしくみを持つことにより、植物はそれぞれの種に適した季節に芽を出し、花を咲かせることが出来るようになっています。
種子は過酷な環境を耐える能力を持つとともに、生育に適当な環境を感知して成長を再開する能力を持っています。
多くの野草の種子では、環境の温度を感知することにより発芽の季節を決めています。
一方、私たちの大切な食料である作物に目を向けると、収穫前の穀類種子が低温・多湿な気象条件により発芽すると品質が大きく劣化し、収穫量も大きく減じてしまいます。
また、高温による発芽阻害は、ホウレンソウやレタスなどの生産効率を大きく低下させる要因となっており、近年の温暖化現象は多くの作物種子の発芽を阻害し、野菜の供給不足、市場での高値を招いています。

私たちの研究室では、種子が温度を感知し、発芽の制御に至るメカニズムを解明することを目的とした研究を展開しています。
具体的には、
1)発芽の温度反応性に異常を持つ突然変異や、野生種の自然変異を利用した発芽制御遺伝子の単離と解析、
2)マイクロアレイなど、ゲノム情報を活用した休眠・発芽制御遺伝子のモニタリングと、形質転換植物を用いた遺伝子の機能解析、
3)植物ホルモン作用の温度による制御メカニズムの解析、
4)発芽の温度反応性を攪乱する化合物の選抜と標的遺伝子の解析などを行っています。

研究室で得られた成果が、高温による発芽阻害がもたらす作物生産効率の低下や、降雨による穀類の収量・品質低下の抑止に貢献することを期待しています。
また、植物では未だ発見されていない、温度の受容体を明らかにすることが出来るかもしれないと、密かに期待しています。

研究室メンバー

博士後期課程 1名; 博士前期課程2年 4名; 博士前期課程1年 6名 
学部4年 9名; 学部3年 6名

研究業績

<主な学術論文>

  1. Takuma Shigeyama, Asuka Watanabe, Konatsu Tokuchi, Shigeo Toh, Naoki Sakurai, Naoto Shibuya and Naoto Kawakami (2016) α-Xylosidase plays essential roles in xyloglucan remodelling, maintenance of cell wall integrity, and seed germination in Arabidopsis thaliana. Journal of Experimental Botany 67: 5615-5629. (doi:10.1093/jxb/erw321)
  2. Yu-ichi Kashiwakura, Daisuke Kobayashi, Yusuke Jikumaru, Yumiko Takebayashi, Eiji Nambara, Mitsunori Seo, Yuji Kamiya, Tetsuo Kushiro and Naoto Kawakami (2016) Highly sprouting-tolerant wheat grain exhibits extreme dormancy and cold imbibition-resistant accumulation of abscisic acid. Pant & Cell Physiology 57 (4): 715-732. (doi/ 10.1093/pcp/pcw051)
  3. Soohwan Lim, Jeongmoo Park, Nayoung Lee, Jinkil Jeong, Shigeo Toh, Asuka Watanabe, Junghyun Kim, Hyojin Kang, Dong Hwan Kim, Naoto Kawakami, and Giltsu Choi (2013) ABA-INSENSITIVE3, ABA-INSENSITIVE5, and DELLAs interact to activate the expression of SOMNUS
and other high-temperature-inducible genes in imbibed seeds in Arabidopsis. The Plant Cell 25: 4863-4878. (doi/10.1105/tpc.113.118604)
  4. Shigeo Toh, Yuji Kamiya, Naoto Kawakami, Eiji Nambara, Peter McCourt and Yuichiro Tsuchiya (2012) Thermoinhibition uncovers a role of strigolactones in Arabidopsis seed germination. Plant & Cell Physiology 53: 107-117.
  5. Shigeo Toh, Akane Imamura, Asuka Watanabe, Kazumi Nakabayashi, Masanori Okamoto, Yusuke Jikumaru, Atsushi Hanada, Yukie Aso, Kanako Ishiyama, Noriko Tamura, Satoshi Iuchi, Masatomo Kobayashi, Shinjiro Yamaguchi, Yuji Kamiya, Eiji Nambara and Naoto Kawakami (2008) High temperature-induced abscisic acid biosynthesis and its role in the inhibition of gibberellin action in Arabidopsis seeds. Plant Physiology 146: 1368-1385
  6. Noriko Tamura, Takahiro Yoshida, Arata Tanaka, Ryuta Sasaki, Asuka Bando, Shigeo Toh, Loic Lepiniec, and Naoto Kawakami. (2006) Isolation and characterization of high temperature resistant germination mutants of Arabidopsis thaliana. Plant and Cell Physiology 47: 1081-1094.
  7. Naoto Kawakami, Yoshiko Miyake, and Kazuhiko Noda. (1997) ABA insensitivity and low ABA levels during seed development of non-dormant wheat mutants. Journal of Experimental Botany 48: 1415-1421.
  8. Naoto Kawakami, Chisato Kawabata, and Kazuhiko Noda. (1992) Differential changes in levels of mRNAs during maturation of wheat seeds that are susceptible and resistant to preharvest-sprouting. Plant & Cell Physiology, 33: 511-517.
  9. Naoto Kawakami, and Akira Watanabe. (1988) Senescence-specific increase in cytosolic glutamine synthetase and its mRNA in radish cotyledons. Plant Physiology, 88: 1430-1434.
  10. Naoto Kawakami, and Akira Watanabe. (1988) Change in gene expression in radish cotyledons during dark-induced senescence. Plant & Cell Physiology, 29: 33-42.

<主な著書・総説>

  1. 川上直人「アブシシン酸」 新しい植物ホルモンの科学第3版 浅見忠男・柿本辰男編 講談社 2016年11月
  2. Akira Endo, Mitsuhiro Kimura, Naoto Kawakami and Eiji Nambara: Functional Analysis of Abscisic Acid 8’-Hydroxylase. In: Seed Dormancy, Methods in Molecular Biology, Vol. 773, Ed. Allison R. Kermode, Humana Press Inc. p135-150, 2011年
  3. 藤茂雄、川上直人「発芽の季節を決めるメカニズム 温度による植物ホルモン代謝の制御と発芽の高温阻害」化学と生物 第48巻4号 228-230 2010年4月1日
  4. 川上直人「発芽とアブシジン酸」発芽生物学 種子発芽の生理・生態・分子機構、種生物学研究 第32号 259-277 文一総合出版 2009年3月31日
  5. 吉岡俊人、藤茂雄、川上直人「発芽と温度:巡りくる季節を感じ取る」発芽生物学 種子発芽の生理・生態・分子機構、種生物学研究 第32号 49-63 文一総合出版 2009年3月31日
  6. 川上直人「種子の休眠・発芽と温度−発芽調節メカニズムの解明をめざして−」日本緑化工学会誌 30(3) 514-517 2005年2月28日
  7. 作田正明・芦原坦・児玉浩明・川上直人・中野雄治・荻田信二郎共著「図解植物分子細胞生物学」芦原坦・作田正明編、オーム社 2004年5月20日
  8. 川上直人「二次元電気泳動法」タンパク質実験ノート、下巻 pp. 33-46 羊土社 1996年
  9. 川上直人「ポリA+RNAの単離精製」植物バイオテクノロジー実験マニュアル クローニングとシークエンス(共著) 監修 渡辺格、編集 杉浦昌弘、農村文化社 1989年
  10. 川上直人、渡辺 昭「枯れてゆく葉で働くグルタミン合成酵素」化学と生物 26: 804-805, 1988年
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